2018/01/01
モルタル壁の外壁塗装について
モルタル壁とは、ラス(網の針金)等の上からモルタル(水・砂・セメントを混ぜたもの)を左官コテで塗り付けた後、塗装して仕上げます。
モルタル壁の代表的な仕上げ形状としましては、吹付リシン、吹付タイル、吹付スタッコ等が挙げられます。
モルタルは、性質上クラック(ひび割れ)が生じやすく、壁材の中に雨水が浸透していってしまうので定期的なメンテナンスを行わないと、外壁の耐久性が著しく低下します。
モルタル壁の仕上げ形状
・スタッコ
スタッコは、各種スタッコ材を吹き付けたもので、高級感と重厚感ある壁面を表現する事ができます。
しかし、吹き付けスタッコは塗装面の凹凸が激しい為、汚れやすいのが欠点です。
また、塗り替え時は塗料の吸い込みが非常に多く、塗料も大量に消費してしまい、施工に手間が掛かるので施工に注意が必要です。
・リシン
リシン壁は、表面が細かい砂の様にザラザラしている砂壁状の外壁です。
コストが安く作業性が良い為に、築25年以上の戸建住宅ではモルタル外壁の仕上げ材として頻繁に使用されてきました。
リシン壁は、砂状の落ち着いた独特の風合いがありますが、モルタル壁面の場合はクラックが生じやすく、塗膜の表面に汚れが付きやすい為、最近では新築時にモルタル壁をリシン仕上げにすることは稀になっています。
・吹き付けタイル
吹き付けタイルは、各種タイル材を吹き付けたもので、ランダムな凹凸がある陶磁器調の外壁仕上げ材です。
吹付けタイルの粒の大きさは、吹付ガンのチップ口径の大きさによって変える事ができます。
吹き付けタイルの塗り替え時は、リシンやスタッコに比べ、塗料の吸い込みがないので、とても塗りやすく作業性が高い形状です。
・左官仕上げ
土壁調の左官仕上げには様々な種類があり、ハンドメイドな風合いが特徴です。
塗り替え時には、スタッコやリシンと同様、仕上げ面に吸い込みが生じる為、塗料が多く必要な場合があります。
また、左官仕上げのモルタル壁面を塗り替える際には、透湿性を持った専用塗料での塗り替えをおススメします。
モルタル外壁の塗り替え時期について
モルタル外壁の塗装は、新築から5~6年を経過すると、様々な経年劣化による不具合が生じてきます。
「チョーキング」「変色・退色」「ヘアクラック」「カビ・コケの発生」「クラック」「塗膜の膨れ」「塗膜の剥がれ」「欠損・爆裂」があります。
外壁にこれらの劣化症状が現れた場合、塗り替えの目安となります。
これらの症状をそのまま放っておくと、建物の躯体自体が劣化してしまう可能性があります。
塗り替えサイン
・モルタル壁の変色や退色
紫外線などによって塗膜が劣化している状態です。
・モルタル壁表面(塗膜)のチョーキング
紫外線などによって塗膜の結合が弱くなり表面が粉状になっている状態です。
・カビや藻、苔の発生
日光があまり当たらない壁面、ザラザラしたリシン壁やスタッコ壁、湿度の高い場所、植栽物の多い場所、劣化したエマルション塗料の表面等に生じ易い傾向にあります。
塗膜の防水性や耐汚性が劣化すると、モルタル壁に生じるカビや藻の発生を食い止める事は困難です。
・クラック(ひび割れ)の発生
モルタル壁に生じるクラックには、①構造に起因するもの②モルタル素地に起因するもの③塗装面に起因するものが挙げられます。
モルタル壁は、ひび割れが生じやすく、定期的な塗装による防水対策を行わないと、モルタルに生じたひび割れから雨水が躯体内部に浸入して、モルタル自体が強度を失ったり、最悪の場合は雨漏れから躯体にダメージを与えることもあります。
・塗膜の膨れや剥がれ
モルタル外壁面に生じる塗膜の膨れは、クラックからの雨水の侵入や直射日光による蓄熱による熱収縮、モルタルに含まれる湿気が主な原因になります。
また、前回の下塗り不良や高圧洗浄不足、脆弱な塗膜の下地調整作業やクラック補修が不十分だった場合も塗膜が膨れたり剥がれるケースもあります。
・目地の劣化
熱伸縮や振動等による建物躯体の運動、モルタル接着部分の劣化などでモルタル壁の目地劣化が生じます。
・モルタル壁の欠損や爆裂
モルタル壁の欠損や爆裂は、モルタル壁に生じたクラックからの浸水によって、強アルカリ性であるモルタルが中性化する事によって、モルタルが脆弱化してしまい、モルタル内部のラスや鉄筋が錆びて膨張することで生じます。
建物の寿命に大きく影響を与えますので、モルタル補修工事を行う必要があります。